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「作ること」はラク ── 私が「設計が大事」という言葉に抵抗していた理由

pen-icon2026.6.28

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筆者:三好アキ(専門用語なしでプログラミング)

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大事なのは量よりも設計、という定型句

勉強やビジネスでは、よく「設計が大事」と言われます。

「量を積み上げるよりも設計が重要です」といったように。

実は私は長い間、このような考えにある種の抵抗感を覚えていました(理由は後述)。

しかし最近、「やっぱり設計が大事なんだな」と思わされる出来事がありました。

プログラミングにもつながる話なので、今回は少しそのことについて書きます。

なんで俺がそんなことしなきゃいけないの?

最近、自分のサイトのブログを整理していました。

SEO強化のためです。

6年ほど運用しているので、記事の数はそれなりにあります。

テーマも「フロントエンド開発」からそこまでズレていません。

しかし、いかんせんまとまりがない。

そこで「React + Vite」、「Next.js」、「TypeScript」といったトピックごとにまとめ記事を作り、その中から個別の記事へリンクを張るようにしました。

いわゆる「ピラー・クラスター戦略」と呼ばれるものです。


• 「このサイトには電気自動車について詳しく書いてあります

• 「このサイトを見ればミクロ経済学について包括的に分かります


サイトの内の記事を相互に結びつけることが専門性や権威性のシグナルとなり、SEO強化につながるのです。

SEOの世界ではそれなりに知られた方法で、私も以前からその存在は知っていました。

しかし長い間、先延ばしにしていました。

理由は単純です。

なんで俺がそんなことしなきゃいけないの?

と思っていたからです。


まとめ記事なんて作らなくても、サイトをじっくり見れば、このサイトがReactやTypeScriptについて色々書いてあることくらい分かるでしょ

Googleもバカじゃないんだから、専門性くらい読み取れるでしょ


いわば、こういうふうに考えていたのです。

しかし実際のところ、私のサイトのアクセス数はここ数ヶ月ずっと横ばいでした。

記事を書いても、それがアクセス数増加に反映されない。

私のサイトは大企業のホームページでもなく、商品を売っているECショップでもないので、大量のアクセスはいりません。

それでも「記事を書いても、それがアクセス数増加につながらない」という状態が長く続くと、「なにかおかしい......」と考えざるをえなかったのです。

そこで重い腰を上げて、まとめ記事をいくつか作りました。

「React + Vite」、「React学習ロードマップ」、「TypeScript」といった、これまで個別に書いてきた記事の内容を包括的にまとめる記事です。

結果は少し予想外でした。

通常SEOは、施策を打っても結果が見えるまでに短くても数週間、一般的には2、3ヶ月かかると言われます。

しかしまとめ記事を作った翌日から、長い間アクセスのなかった昔の記事にも訪問者が出てくるようになったのです。

このことで、私は一つのことに気付かされました。


他人は、こちらの「すべて」を見てくれるわけではない。

見ようともしない。

だからこちらから、「私はこういう人です」、「これにはこういう価値があります」ということを、分かりやすい形で示す必要がある。


これは考えてみれば、昔から知っていたことでした。

どんなに価値があるものでも、乱雑に置かれていて、整理されていなければ、その使い道は他者に伝わりません。

• 第一印象を整えること
• 相手に伝わる形にすること

「まとめ記事を作る」とは、こういうことだったのです。

長い間、私はどこかで「良いものを作れば、いつか誰かが見つけてくれる」と思っていたのかもしれません。

しかし実際には、Googleにすらしっかり見てもらえていなかったのです。

なぜ私は「設計」に抵抗していたのか

ここまで読んで、「そもそもなぜ設計に抵抗していたの?」と思った人がいるかもしれません。

実はこの理由は、独学でプログラミングを勉強している人や、「自分にはプログラミングの才能がないんじゃないか?」と思っている人にも関わってくる話です。

理由を先に書きます。

単純な理由です。


「作ること」は快適だから

一人でできるから

傷つかないで済むから


私は5年以上自分の事業をやっているので、今ではビジネスにおける設計の重要性を理解しています。

しかしその理解に至るまで、より正確には「三好さん、設計が大事ですよ」というアドバイスを素直に受け入れるまでには、結構時間がかかったと思います。

それは私が、「量を積み上げるだけでなんとかなる世界」で上手くやれていたからです。

例えば学生時代の受験勉強。

私は特に計画らしい計画を立てず、問題集をやって志望校に合格しました。

例えば留学。

私は特に計画らしい計画を立てず、それなりの努力とそれなりの勉強で外国に行きました。

つまり私は、「時間とエネルギーの投入量」だけで長い間なんとかしてきていたのです。

「量」が通用しなくなったとき

そのあと、仕事を始めたり、自分の事業を始めたりしました。

当然、上手くいかないことも多くありました。

特にこの自分の事業では、上手くいかない期間が何度もありました。

ブログ記事を増やしても、アクセスが増えなかったり。
商品数を増やしても、売り上げが比例しなかったり。

自分はビジネスの才能がないんだろうなあ」と思ったこともあります。

そういうときに「三好さん、それは設計が悪いからだよ。才能の問題じゃないんだよ」と言われても、素直に受け取ることはできませんでした。

このアドバイスが含んでいる「優しさ」には感謝しつつも、それは単なる優しさ、深みのない優しさだと思っていたのです。

「設計が大事」というのは、ビジネスを語る誰もが口を開けば一度は吐く定型句です。聞き飽きていたのです。

そして何より、自分が「投入量」だけでなんとかやれてきた成功体験がありました。

ゲームのルールが変わったんだよ。ビジネスは設計の方が大事」と言われても、何か釈然としないものがあったのです。

「作ること」は、快適だから

しかしいま振り返ると、抵抗していた本当の理由が分かります。


「作ること」は快適だから

一人でできるから

傷つかないから

そして、「真面目にやっていればいつか誰かが見つけてくれる、分かってくれる」と思っていたから


• 商品を作る
• 教材を開発する
• 記事を書く
• コードを書く

これらはすべて一人でできます。

ゼロ → イチには充実感もあります。

そして「興味ありません」、「あなた、間違ってますよ」、「それ、価値ゼロですよ」といった現実に向き合わなくて済みます。

だからずっとそこにいられてしまう。

しかし、いつかは他者と出会う必要があります。

そして他者は、私たちの「すべて」を見てはくれません。

(先ほど書いたように、Googleですら見てくれないのです。どれだけ価値のある記事があっても、それが見やすい形で整理整頓されていなければ)

こちらから、自分の持っているもの、能力、価値を、相手にわかりやすい形でしっかり説明する必要があります

ここで出てくるのが「出会いを設計すること」、つまり設計の重要性です。

一人でできること。その先にある罠

私はひとりが苦にならないタイプです。

「一人でコツコツ」というのが好きです。

そして自分の生徒を見ていても、プログラミングを独学している人には同じタイプが多い。

だからこそ、この罠におちいる人をよく見かけます。


• 勉強する
• 作る
• 新機能を追加する
• そしてもっと勉強する


これらは全部、一人でできます。

しかし転職も、仕事も、ビジネスも、最終的には他者との接点の中で結果が決まります。


人はみな、それぞれにユニークな価値があります。

誰も知らなくても、誰も認めなくても、人それぞれに価値があります。

しかし仕事やビジネス、いわゆる社会生活での出来事は、自分一人では完結しません。

自分以外の他者が必ず関わってきます。

だからいつかは、「自分は何を持っているのか」、「それは相手にとってどんな価値があるのか」を伝えなければいけないのです。

良いものを作ることと、伝わる形にすること

以前の私は、かなり長い間、「良いものを作れば、いつか誰かが見つけてくれる」と思っていました。

しかし今は、良いものを作ることと同じくらい、それを相手に伝わる形に整理することも重要だと思っています。

そしてこれは、SEOやビジネスだけの話ではありません。

プログラミング学習も同じだと思います。


• ReactのHooksを覚える
• TypeScriptの型の書き方を覚える
• 色々なAI開発ツールを触る......


新しい知識や体験を集めるのは楽しいことです。

「知らないことを知る」には充実感があります。

そしてAI時代が来て、知識を集めることは過去にないほど簡単になりました。

しかし知識をたくさん集めても、それらが頭の中でバラバラではうまく使えません。

「新しい知識をむやみに増やす」より、「知識を整理して、一つの体系として理解する」が解決策となる段階があります。

私が教えているReactやTypeScriptも、体系的な理解ができたときにはじめて「使える」という状態になるものです。

学習を進めていても「自分は成長している気がしない......」や、「プログラミングの才能がないのかも......」と感じている人は、それは知識不足の問題ではなく、知識の整理・設計の問題なのかもしれません。

量は必ず必要です。

しかしある程度の量を積み上げたのにうまくいっていない場合は、一度立ち止まり、これまで積み上げてきたものを整理・整頓してみましょう。

すると、意外にスムーズに長い停滞期を抜け出せることがあります。

AIが断片的な知識を無限に吐き出す現在、人間の側が頭の中でそれを整理・体系化することが、より一層重要になったように思います。

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✤ 筆者 ✤
三好アキ(専門用語なしでプログラミング)


非IT出身。かつてプログラミングの専門用語の壁に何度もぶつかり、挫折した経験から、「専門用語なし」のメソッドを確立。1,200人以上のビギナーのフロントエンド開発入門を成功させる。翔泳社『動かして学ぶ!Next.js/React開発入門』(韓国でも出版)など著書30冊以上。Amazonベストセラー1位複数回獲得。


記事の執筆、法人向けReact研修なども行っています ▼
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