コールドメールとは? 成功のコツを実体験に基づいて解説

blog-hero-imgコールドメールの定義から送り方、成功させるコツまで、網羅的に紹介します。

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この記事の筆者:三好アキ(エンジニア)


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コールドメールとは?

日本語で書かれたサイトや記事を見ると、「コールドメール(もしくはコールドEメール)」の説明はよく次のように書かれています。


接点のないエラい人・・・・や、社会的地位が自分よりも高い人と、コネクションを作るために送るメール


しかし英語の「Cold mail」とは、この用途に限定されたものではなく、ビジネスやセールスの目的で送るメールはすべて「コールドメール」と呼ばれます。

つまり日本語でいうところの「営業メール」です。

「コールドメール」という言葉を使うメリットは、長年使い古された「営業メール」という言葉が持つネガティブな印象がここにはない、という点でしょうか。

言葉が私たちに与える影響力は計り知れないものがあるので、「営業メールを送る」ということには抵抗を感じても、「コールドメールを送る」と言い換えればずいぶん違った印象を受けます

ところで、なぜ「コールド(冷たい)」という単語が名前に使われているのでしょうか?

「コールド」の意味

友達にメールを送る場面を考えてみましょう。

ここでメールの送り手と受け手は、メールを受け取る前からすでに知り合いです。

そのため、この関係性は「暖かい(Warm)」と言えます。

一方でコールドメールは、これまでつながりのなかった「他人」に連絡をとる方法なので、当然、送り手と受け手の間の関係性は暖かくありません。

つまり「コールド」とは、相手とのつながりの薄さに由来する言葉なのです。

「顧客となるポテンシャルのある人にメールを送ってきっかけを作り、その後のミーティングやニュースレターなどで徐々に関係性を暖めて、セールスにつなげていく」という、一連のカスタマージャーニーの最初で使われるものがコールドメールになります。

誰がコールドメールを活用?

上でも書いたように「コールドメール」とは「営業メール」なので、営業が必要な人はみな活用しています。

企業の営業部などで仕事をしている人たちは、絶えず知らない人に「コールドメール」を送っては、つながりを築こうとしているでしょう。

特にフリーランスや個人事業主のように、販売や制作、顧客対応までをすべて一人でこなし、時間的リソースが常に不足しているような人たちには、コールドメールは特にコストパフォーマンスの高い方法です。

コールドメールのメリット

第一のメリットは、コストパフォーマンスに優れている点です。

メールはいつでもどこからでも送れますし、電話のように相手の時間を取ることもありません。

また5分で100人以上に送ることも可能なので、その「コスパ」は非常に優れています。

知らない人とつながりを築ける、という点も大きなメリットです。

イベントや共通の知人からの紹介などの方法は、つながれる人のタイプや数に大きな限界があります。

その点コールドメールは、相手の連絡先さえわかれば、自分の望む相手にメールを送ることができてしまいます(返事があるかは別の話ですが)。

そして「気が楽」という点も大きなメリットでしょう。

知らない人にいきなり電話をかける営業電話(コールドコーリングと呼びます)や、相手のお店や事務所を訪ねる飛び込み営業のように、他人と直面することがない方法なので精神的には楽といえます。

それでも知らない人にいきなりメールを送ることに抵抗を感じる人は多いと思うので、本記事の最後でその乗り越え方を紹介します。

コールドメールのデメリット

私たちは日々大量の営業メールを受け取っています。

そのため営業やセールスのにおいがすると、そのメールをそもそも開封しません。

コールドメールはこの「開封されない」「読まれない」という確率が非常に高い方法です。

開封されなかったら、メールの本文に書かれた魅力的な商品やサービスの説明も意味がなくなります。

また開封されない以前に、相手の迷惑メールフォルダーに入ってしまって、メールの存在自体気がつかれない可能性も低くありません。

そして相手の受信フォルダに無事届いて、無事開封されても、「所詮はメール」なので、相手も深刻にとらえず無視をする、もしくはそこに書かれたサービスやオファーに魅力を感じてもすぐに忘れてしまう、といったこともよく起きます。

つまりコールドメールは、どちらの側にとっても負担が少ない分、成功率が非常に低い方法といえます。

コールドメールを送ったことのない人は、まずこの点をよく覚えておきましょう。

「そもそも開封されない」「開封されても真面目に読まれない」「真面目に読まれても、すぐに忘れられる」...。

このことを最初に知っておけば、1通や2通送ってなんの反応がないというのは普通で、むしろそれで反応のある方が例外的な状況であるということがわかるでしょう。

コールドメールの方法

始め方は簡単で、相手のウェブサイトにメールアドレスは書かれているので、それをコピーして使います。

メールの本文は、事業の種類やそのメールで何を達成したいのかによって異なります。

しかし一つ覚えておきたいのは、メールを読んだだけでいきなり商品やサービスを買おうとする人は、基本的にいないということです。

例えば私のようなウェブサイト制作をしている場合、コールドメールのゴールは「ミーティング」です。

私のメールを読んだだけで「それではウェブサイト制作をお願いします」という人は普通いないので、ゴールは現実的に考えましょう。

逆から言うと、ゴールを決めていないコールドメールは効果がありません。

送り手がそのコールドメールで何を達成したいのか不明だと、それを読む方はさらに混乱します。

そのためゴールを事前に決め、そこへ読み手を導いていくことが大切です。

私の場合はミーティングの設定なので、コールドメールの最後には「都合のつく時間を教えてください」といったことを書きます。

これはいわゆるCTA(Call To Action)と呼ばれるもので、コールドメールにはしっかり「あなたに〜してもらいたい」「〜してください」といったことを書きましょう。

もちろん、押し付けがましくならないように書くことを心がけましょう。

よくある失敗と成功させるコツ

ここでは初心者がよくしてしまう間違いを紹介しながら、コールドメールを成功させるコツを説明していきます。

コピペ文章

コールドメールは「数打ちゃあたる」、つまり「送れば送るほど成功率も上がる」とよく言われますが、これは半分正解で半分間違いです。

というのは、営業や集客の方法にはコールドメール以外にも電話、飛び込み、SNS経由、広告、ネットワーキングイベントなど数多くありますが、その中でもメールを送るだけのコールドメールはかける労力が少ない分、成功率は低くなります。

そしてこの低い成功率を高めるには、そのベースとなるメールの送信数を上げる必要がありますが、当然数が増えれば一通あたりにかけられる労力や時間も減ります。

そこで100人に対してまったく同じ文面を送る「コピペ」のコールドメールが生まれるわけですが、これはただでさえ成功率の高くないコールドメールの成功率を下げるだけでなく、後で触れるようなメールアドレスがスパム認定される可能性も高めます。

これを避けるには、まず最低でもメールを受け取る人や企業の名前を調べ、メールの冒頭に宛名として書くようにしましょう。

これができている人には当たり前に聞こえると思いますが、実はそうではありません。

私もしばしばコールドメールを受け取ります。

しかし当サイトの至る所に書かれている私の名前や、「monotein」という事業名すら書かれていないメールが多くあります。

相手の企業名や代表者名などは、文頭だけでなく文章中にも入れることで、さらにコールドメールをパーソナライズできます。

コールドメールの成功のコツは「このメールは私だけに送っているんだ」と思ってもらうことなので、その受取人固有のもの、たとえば相手の会社の住所やサイトURLなどを文章に含めるのは効果的です。

件名が魅力的でない

メールを開封するかどうかは件名にかかっています。

本文の内容がどれだけよくても、件名で相手の興味を惹きつけられないと開封してもらえず、それまでの努力は無になります。

明らかにセールスだと思うメールは開封されないので、私は簡潔で短い件名を使っています。

たとえば「ホームページのアクセスを増やす方法にご興味ないですか?」といった件名は営業のにおいが強いですが、「【ご質問】ホームページについて」という件名だと、まるで一般の人が問い合わせをしてきたように見えます。

件名は重要なポイントなので、自分でトライ&エラーを繰り返して、効果的なものを見つけましょう。

メールが長い

コールドメールを受け取った時点では、相手はあなたのことを誰か知りません。

そんな人のメールに時間をかけていられるほど相手は暇でないので、どんなに熱い思いをこめたメールを送るにしても、文章はできるだけ短くしましょう。

一文を短く、かつ一文ごとに改行を入れて、文章がスカスカしているイメージ、つまり簡単にさらっと読めそうだという印象を与えるようにすることが大切です。

目的(CTA)が不明確

上にも書いたように、コールドメールの目的は、売りたいサービスや商品をすぐに買ってもらうことではありません。

多くの場合、まずは一度話し合いの場を機会を作ってもらうことです。

なのでコールドメールの文末には「都合のいい時間を教えて下さい」といった言葉、つまり「相手にとってもらいたい行動を明確に書いた文章」を必ず入れる必要があります。

意外にこれが抜けているコールメールは多く、その場合、受け取り手は一体何をすればいいのかわからないので、当然なにもしません。

相手にとってもらいたい行動を、あなたの方からしっかりとお願いすることがマストです。

そしてその行動とは「Aをして、次にBをして、次にCをしてetc.」といった複雑なものでなく、頭を使わなくても一瞬で終わるような行動にする必要があります。

たとえば、ミーティングの予約がその場で出来るリンクを添付することなどは効果的です。

取得したばかりのドメインで送っている

これは意外に盲点で、日本語ではあまり情報が見つかりませんが、取得したばかりのドメインで大量にメールを送ると、すぐにスパム認定され、メールが相手に届かなくなります。

メールプロバイダーは各ドメインごとに信用度を格付けしており、これが低いとスパム認定され、メールを送っても相手の迷惑メールフォルダへと直行してしまいます。

そうなるともちろん読まれません。

普通の状況、たとえば友達にメールを一通送ったら、一通返信がきます。そしてこちらがまた返信をして、相手も返事をするという風に続いていくのが普通です。

10分間にメールを100通も送るというのは、さらには返信が0とか1通というのは、メールプロバイダーからすると不審な動きに見えるので、これでドメインがスパム認定されてしまうのです。

これを避けるには、ドメインのウォームアップ期間を作りましょう。

ドメインを取得後、最初の2〜3週間をこのウォームアップに当て、友達にメールを送って返事をもらうなどして、このドメインを普通の用途に使ってることをメールプロバイダーにアピールします。

いくつかのニュースレターに登録したり、SNSの登録アドレスにしたりすると、大量のメールを受信できるので、これも手っ取り早い方法です。

ウォームアップ期間後も、いきなり1日に100通も送るのは控えます。

1週目は20通、2週目は40通、3週目は60通というように徐々に増やしていくのが安全です。

またこれは「そう言われている」程度の話ですが、メールアドレスがinfo@mono-tein.comcontact@mono-tein.comなどの一般的なものよりも、aki-miyoshi@mono-tein.comtanaka@mono-tein.comといったように、@の前が個人名の方がスパム認定されづらい、という情報もあります。

1通しか送らない

1通しか送らないのは、ただでさえ成功率の高くないコールドメールの確率をさらに下げる原因です。

1通だけ送ってあとは反応を待つ人は多いですが、これはコールドメールを1通送ることにすら「相手に迷惑をかけている」といった心理的抵抗を感じたのに、2通目なんて押し付けがましいと考えてしまうためでしょう(この心理的抵抗への対処法は次に紹介します)。

しかし、「メールを見て興味を引かれたけど返事を忘れている」や、「そもそもメールに気が付いていない」といった状況は普通なので、確認の意をこめて2通目、3通目を送ることが成功率を高めます。

見ず知らずの人にメールを送る心理的抵抗をなくす方法

コールドメールは他の営業方法と比べて時間も労力も低く済むといっても、見ず知らずの人にメールを送ることに抵抗を感じる人は多いでしょう。

私もその一人で、この心理的抵抗を乗り越えるのにしばらくかかりました。

これを乗り越えるには、相手に何かを売ろうとするセールスの態度や心構えを、自分の中から消すようにしましょう。

コールドメールを送るのは、相手にあなたの商品やサービスを買ってもらい、利益を得るためです。

しかし、ここで利益を受け取るのはあなただけなのでしょうか?

そうではなく、あなたの提供するものが相手の利益になった結果、あなたも利益を手にする、つまりお互いにプラスとなってウィンウィンの関係であるのが普通であり、当然そうなるべきです。

たとえば私が誰かのホームページを制作することによって、私は報酬を得ることができ、相手もネット集客ができるようになって売り上げが増えるという、お互いにプラスの状況が生まれます。

もし片方しか利益を得られないならば、それは単なる詐欺です。

コールドメールを送ることに心理的抵抗を感じる場合は、自分の提供しているサービスや商品が相手のためにもなるという自信をまず持つようにしましょう。

ここが不安定だと、コールドメールに限らず、他の営業/セールスの場面でも弱腰となってしまいます。

私の場合、毎回コールドメールにその相手だけの見本のデモサイトを載せて送っています。

これには2つの効果があります。

まず一つはパーソナライゼーションで、サイトには相手の事業名や住所などが書かれているので、それが使いまわしているものではないことがコールドメールの相手にも明らかになっています。

二つ目は「価値を提供している」という意識です。

デモサイトは一つ一つ作っているので時間がかかりますが、その分「相手に価値を提供している」という感覚も強くなります。

適当に「数打ちゃ当たる」の精神で送らないこと、つまり一通一通にある程度の時間と労力を傾けることは、その分心理的抵抗を減らす効果も高くなります。