【比較】WooCommerceとShopify ― 成功するECはどっち?
2020.05.302020.05.31
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この記事の筆者:三好アキ
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WooCommerceとShopify
現在、コロナウィルスと外出自粛によるEC市場の飛躍的な伸びが世界中で見られており、その中でひときわ注目を集めているのがShopifyです。
「いま注目を集めるECサイト開設サービス、Shopifyとは?」で紹介したように、Shopifyは全部入りのオールインワン・サービスなので、すぐにネットショップを開設できます。
とはいえ、ECショップ開設の方法はさまざまあり、Shopify以前には「【比較】BASE、STORES.jp、Shopify ― 成功するECはどれ?」で紹介したようにBASEやSTORES.jpなどの国産ECサービスを使うのがポピュラーな方法でした。
またWordPressのプラグイン、WooCommerceを使ったECショップ開設というのも人気でした。
今回は、そのWooCommerceとShopifyの特徴を、比較をしながらくわしく紹介していきたいと思います。
Shopifyとは?
Shopifyはカナダ発のECショップ開設サービスで、アカウントを作成するだけですぐにECショップ立ち上げを行うことができます。
アカウントの作成からショップ開設まで最短5分ほどで済み、このように簡単にECサイトを作れてしまうのは、ShopifyがECショップ開設に特化したサービスだからです。
豊富なテンプレートにより本格的な見た目のサイトを構築でき、また商品の管理画面が非常に充実しているので、商品の在庫管理や売上管理、そして顧客管理も一つの画面で行なっていくことができます。
Shopifyについてより詳しく知りたい方は「いま注目を集めるECサイト開設サービス、Shopifyとは?」を参照してください。
WooCommerceとは?
WooCommerceはShopifyとは違い、これ自体でECショップを開設できるものではありません。
WooCommerceはWordPressのプラグインとして提供されているもので、WordPressに組み込むことでそのサイトをEC化したり、またはEC機能を既存のWordPressのサイトに組み込むことが可能です。
Shopifyが人気を得る以前は、世界的にこのWooCommerceを使ったECショップ開設がポピュラーな手法でした。
設計思想の違い
Shopifyは2004年から始まったサービスで、オールインワンの機能を提供しているサービスです。
一方でWooCommerceは、WordPressのプラグインとして作成されたオープンソース型のシステムで、WordPressのテーマ開発をしていたWooThemesによって2011年に開発されました。
このようの設計思想の違いは、これから紹介する他の項目にそのまま表れます。
WooCommerce | Shopify |
---|---|
サービス型 (SaaS / Software as a service) |
システム型 |
想定ユーザーの違い
ShopifyとWooCommerceは想定しているユーザーが異なります。
Shopifyの場合、オールインワン設計のため、誰でも簡単にECショップを開設できることに主眼を置いています。
対してWooCommerceは、そもそもWordPressの知識があることが前提となっているため、ある程度すでに知識や経験のある人がターゲットとなっています。
また、WooCommerceは既存のWordPressサイトに組み込んで使うことができるので、すでにWordPressサイトがある場合には、わざわざShopifyに乗り換えるメリットは薄いといえます。
WooCommerce | Shopify | |
---|---|---|
想定ユーザー | ある程度知識のある人 すでにウェブサイトがあって、今からEC事業を始めたい人 |
初心者 これからECショップを始めたい人 |
テクニカルな難易度
Shopifyは、サービスとしてすべての機能をオールインワンで提供しているため、ユーザーはプラグラミングやテクニカルな知識がなくとも、すべてをShopify側が行ってくれます。
一方でWooCommerceは、元がWordPressのプラグインであるため、WordPressのサイト制作と管理で必要なこと、例えばサーバー管理やセキュリティ対策などは自分で行う必要があります。
WooCommerce | Shopify | |
---|---|---|
サーバー管理 | 必要 | 不要 |
セキュリティ対策 | 必要 | 不要 |
テクニカル性 | 中〜高 | 低 |
カスタマイズ性
ECサイトの見た目は「商品をどれだけ魅了的に見せるか」「ブランドイメージをどのように打ち出すか」というECショップの根幹に関わる非常に重要な要素です。
ECショップをどれくらい自分好みにカスタマイズできるかは、ShopifyとWooCommerceで異なり、ShopifyはBASEやSTORES.jpと比較するとカスタマイズ性が高いものの、WooCommerceと比べた場合にはWooCommerceに軍配が上がります。
WooCommerceは基本的にWordPressサイトなので、WordPressで可能なデザインの変更などは基本的にすべて可能です。
WooCommerce | Shopify | |
---|---|---|
カスタマイズ性 | 高 | 低 |
商品の管理機能
ECサイトには、普通のウェブサイトとは異なり、特有の機能が数多くあります。例えば商品アイテムの売上管理や販売管理の仕組みで、これらの充実度、使いやすさはそのままショップ管理のしやすさにつながります。
この点、ShopifyはECショップ開設に特化したサービスなので、管理画面の充実度やカゴ落ち機能等の充実ぶりにおいてWooCommerceを上回っています。
WooCommerce | Shopify | |
---|---|---|
商品の管理機能 | 中 | 高 |
費用
ECショップの開設と維持にかかる費用は、どのようにECショップを開設するかに関わる重要な要素です。
Shopifyには3つのプランが用意されており、一番金額の低いものが「ベーシック」プランの月額29ドルです。
WooCommerceの場合、フリーのオープンソースなので利用料は0円でかかりませんが、サーバー代金や安全性を高めるためのSSL証明書発行費用などが別にかかってきます。これらはレンタルサーバーの提供会社によって異なりますが、およそ月300円〜です。
WooCommerce | Shopify | |
---|---|---|
費用 | サーバー料金、SSL証明書発行費など | 29ドル/月 (ベーシックプランの場合) |
データの保存容量
ECショップ開設時には登録アイテムが少なく、データ量に注意を払うことはあまりないですが、ショップの規模が拡大したり、膨大な数のアイテムを扱う場合には注意が必要です。
Shopifyの場合、商品アイテム数の制限はありません。つまりデータ量は気にせずにアイテムの数を増やしていくことができます。
WooCommerceの場合、アイテムの数自体に制限はありませんが、データ量の上限はレンタルサーバーとの契約によります。
普通はレンタルサーバー契約プランによって10GBや50GB、100GBなどの上限があるので、それがECショップに表示できるアイテムの数や写真数に関係してきます。
なお、Shopifyの場合、Shopify側がデータのセキュリティ管理等を行ってくれるのですが、それは同時にShopifyに各ショップの様々なデータが筒抜けになっているということです。データの権利に厳しい諸外国などでは、Shopifyのこの点を嫌って、データの管理をすべて自分で行えるという理由でWooCommerceを選ぶ人が多いようです。
WooCommerce | Shopify | |
---|---|---|
データ容量 | 契約サーバーによる | 制限なし |
SEO
ECショップへのアクセス数を増やすためには、検索流入数を増やすSEO対策が欠かせません。
Shopifyの場合、SEOはShopify側が自動で最適な対策を行ってくれます。
WooCommerceでは、WordPressのSEO対策用プラグインも活用可能ですが、基本的には自分で行っていく必要があります。しかしこれは「自分で細かくSEO対策を行える」という意味でもあり、まかせきりのような状態となるShopifyにない利点といえます。
WooCommerce | Shopify | |
---|---|---|
SEO対策 | カスタマイズ可能 | まかせきり |
まとめ
今回は世界的に注目を集めるShopifyとWooCommerceについて紹介をしました。
このどちらを使ってもECショップの開設は可能ですが、上述のような設計思想の違いから、想定しているユーザーや機能面に大きな違いがあります。
そのような点をよく考慮し、自分のニーズに最も合うものを選んでECショップを開設しましょう。
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