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【比較】WixとShopify ― 成功するECショップを作れるのはどっち?

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この記事の筆者:三好アキ


🔹 Amazonベストセラー1位を複数回獲得している『はじめてつくるReactアプリ with TypeScript』著者。

🔹 自身のJavaScript挫折経験をもとに、HTMLとCSSの知識だけで本格的なアプリ開発を始められる入門書を多数執筆中。合計著作は22冊を超える。

🔹 専門用語なしでプログラミングを教えるメソッドに定評があり、1200人以上のビギナーを、最新のフロントエンド開発入門に成功させる。


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どちらもビギナー向けのサイト構築サービス

まずはWixとShopifyの簡単な紹介です。

Wixとは?

WixはイスラエルのWix社が提供しているホームページ構築サービスで、最大の特徴はドラッグ&ドロップだけで簡単にウェブサイトを作れることです。

世界190カ国、1億6,000万人のユーザーがいて、ここ日本でも多くのウェブサイトがWixで制作されています。

Wixは汎用的なホームページ制作サービスなので、個人の趣味サイトから企業のコーポレートサイト、そしてECサイトまでさまざまなウェブサイトを作れます。

Shopifyとは?

Shopifyはカナダ発のECサイト構築サービスで、世界シェアNo.1を占めています。

汎用的なWixとは違ってShopifyはECサイト構築に特化したサービスのため、例えば単なるブログサイトや販売機能の必要ないコーポレートサイトなどには不向きです。

詳しくは「Shopifyが人気を集めるワケ」を参考にしてください。

WixとShopifyの共通点

最初にWixとShopifyの共通点を紹介します。

ビギナーフレンドリー

どちらのサービスも一番力をそそいでいるのが「ビギナーが簡単にウェブサイトを制作できること」です。

見やすくてわかりやすい操作パネルとバリエーション豊かなテンプレートが用意されているので、すぐに本格的なウェブサイトを作れます。

コードスキル不要

どちらもプログラミングやウェブの専門知識がない人を対象としているので、アカウントを作ればすぐにウェブサイト制作を始められます。

オールインワン設計

ウェブサイト運営にはサーバー契約やセキュリティ対策など、ビギナーには難しい作業があります。

WixとShopifyはオールインワンのサービスなので、これらのことをユーザーは考えなくてよい仕組みになっています。

どちらもスピードが遅い

これは両サービスで共通のデメリットですが、どちらもページの表示スピードが遅い点は共通しています。

しかし「ページ表示に3秒以上かかるとページを閉じる」というGoogleの調査が示すように、ページ表示スピードは売上に直結する重要なファクターです。

スピードUPには次の記事を参考にしてください。

WixとShopifyの違い

ここからは両サービスで異なる点を紹介していきます。

実は0円ではないWix

Wixのプランは無料と有料の2つに大きく分かれます。

無料プランは0円でサイト開設ができますが、機能に制限があったりサイトに広告が入ったりするので、多くの人は有料プランを選びます。

この有料プランはさらに「ホームページプラン」と「ビジネス& Eコマースプラン」の2つに大きく分かれています。

無料 有料
プラン名なし ホームページプラン
ビジネス& Eコマースプラン

WixでECショップを作るには、後者の「ビジネス& Eコマースプラン」プランを利用する必要があります。

この「ビジネス& Eコマースプラン」プランはさらに「ビジネス(1,800円/月)」「ビジネスプラス(2,600円/月)」「ビジネスVIP(3,800円/年)」の3つに分かれており、それぞれデータ容量や利用できる機能に違いがあります。

ビジネス & Eコマースプラン
ビジネス(1,800円/月)
ビジネスプラス(2,600円/月)
ビジネスVIP(3,800円/年)

ここで重要なのは「無料」で有名なWixでも、ECサイトの場合は最低でも月額1,800円のコストがかかることです。

一方Shopifyの場合、14日間の無料トライアルがあるものの無料プランはありません。

「Shopifyのプランを比較して解説します」でも解説したように、普通はベーシック、スタンダード、プレミアムの3つのプランのどれかを契約することになり、一番安い「ベーシック」プランで29ドル/月となります。

Shopifyのプラン料金は下のようになります。

ベーシック スタンダード プレミアム
月額利用料 29ドル 79ドル 299ドル

決済手段

決済手段はECサイトの購買率に直結する重要な要素ですが、結論からいうとShopifyの方がWixより優れています。

例えばShopifyで使えるAmazon PayやGoogle Pay、Apple Payなどは、Wixではすべて使えません。

代わりにWixではPay PalやStripe、またはイプシロンの提供するクレジットカード決済など、サードパーティの決済手段が使えます。

この点、「Shopifyペイメントについて詳しく解説」でも紹介しましたが、Shopifyにはデフォルトともいえる決済手段「Shopifyペイメント」が用意されています。

Shopifyペイメントの最大の特徴は決済をすべてShopify内で完結できることで、これによって他サイトへの遷移なくスムーズに決済を完了でき、ユーザーにより良い購買体験を提供できます。

実はWixにも「Wixペイメント」と呼ばれるものがあり、これを使えばShopifyペイメントのようにWix内で決済を完了できますが、Wixペイメントは日本では使えない機能です。

なのでShopifyの方がWixよりも決済手段の選択肢が多いのが現状です。

取引手数料(サードパーティ利用の場合)

サードパーティの決済手段を使う場合、手数料のかからないWixの方がお得です。

Wixペイメントが使えない日本では外部(サードバーティ)の決済手段を使う必要があるので、その取引手数料が0円となっているのです。

一方、ShopifyでもShopifyペイメントを使わないでサードバーティの決済手段が使えますが、その時には必ず取引手数料がかかります。

これが「Shopifyのプランを比較して解説します」の一覧表にある「Shopifyペイメント以外の決済サービス利用時の追加料金」というもので、プランによって0.5〜2.0%ほどかかります。

ターゲットユーザー

どちらもビギナーがターゲットのサービスですが、ECショップを制作する場合には若干の違いが出てきます。

ShopifyはECサイト構築に特化したサービスのため、将来ショップの規模や扱うアイテム数が多くなった時にも柔軟に対応できるように設計されています。

これは管理者が一人の小規模ECショップから企業の経営する大規模ECショップまでを含めた、非常に裾野の広いサービスをShopifyが提供していることに関係しています。

一方でWixの場合、もとが汎用的なウェブサイト制作サービスのため、どちらかといえば小〜中規模ECショップのオーナーがターゲットユーザーになっているように思えます。

スケール性

今触れたように、ShopifyはECサイトに特化したサービスのため、ショップの規模が大きくなったときには上位のプランに変更するだけでスムーズにショップをスケールアップできます。

この点、Wixにも「ビジネスVIP」のような上位プランがあることはありますがShopifyほどの柔軟性はありません。

これを示す例がデータ容量の制限で「ビジネスVIP」では500GBとなっています。

500GBというのはかなり大きな容量ですが、全プランで登録アイテム数の制限がなく、実質「データ容量無制限」のShopifyと比較すると見劣りしてしまい、ショップ拡大時のリスクが高くなります。

デザイン、テンプレートなど

両サービスでデザインを変更するための管理画面と、プロの手による本格的なテンプレートが用意されています。

テンプレートは特にWixのアピールポイントで、500以上のテンプレートから自分に合うものを選ぶことができますが、ECサイトとして使えるテンプレートは実質1/10程度です。

一方でShopifyの場合、2020年6月現在で73個のテンプレートが提供されており、これらすべてがECショップ向けに制作されたものです。

気をつけたいのはShopifyのテンプレートのほとんどは有料であることで、計73個のテンプレートのうち無料のものは9個しかありません。

比較一覧表

WixとShopifyの特徴を一覧表にまとめてみます。

Wix Shopify
用途 ウェブサイト全般 ECショップ
月額利用料 1,800円〜
(「ビジネス & Eコマースプラン」の「ビジネス」プラン)
29ドル〜
サートパーティ利用時の取引手数料 なし  0.5 〜 2.0%
利用できる決済手段の数 普通 非常に多い
テンプレート数 500以上 70~
ショップ規模 個人 〜 小規模のECショップ 個人 〜 大規模のECショップ
ターゲットユーザー ビギナー 〜 中小企業 ビギナー 〜 大企業
扱いやすさ
ブログ機能

WixとShopifyを合体させる方法

ここまで両サービスを対立するもののように扱ってきましたが、実はこの2つは合体させて一緒に使うことができます。

具体的には「最安プラン「Shopify Lite」とは何か?」で紹介したShopify Liteのプランを使って、Wixのホームページに販売ボタンを埋め込むという方法です。

またShopifyはJamstackというアーキテクチャと一緒に使うと、ページ表示が高速でユーザーにストレスを感じさせないウェブサイトを作れます。

Jamstackについては下の記事を参考にしてください。

結論

今回は世界中で人気のホームページビルダーWixと、ECショップ開設に特化したShopifyを比較しました。

一般的なウェブサイトではなくECショップ開設ということを考えた場合には、やはりECサイトに特化したShopifyで制作をする方が短期的にも長期的にもメリットが大きいというのが結論です。

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