SNS全盛の時代に『まだ』ウェブサイトは必要なの?
2021.12.01
2021.12.03
目次

この記事の筆者:三好アキ(ウェブエンジニア)
「売り上げが伸びない」、「ウェブサイトから問い合わせが来ない」など、ウェブでお困りのお客さまの課題解決を、最新の知見を活かして行なっています。海外滞在が長く、日本語の情報が少ないJamstackやヘッドレスCMSなど最新のウェブテクノロジー、ウェブマーケティングに精通。事業について詳しくはこちらをご覧ください。
ウェブ制作の教本『はじめてつくるReactアプリ』など複数冊を執筆。本に関するインタビュー記事はこちら。
なぜ「まだ」ウェブサイトが必要?
「インスタグラムやFacebookのSNSがあれば、ウェブサイトは作らなくていいんじゃない?」という質問は、ここ数年いつもどこかで出てくるトピックでしょう。
最初にことわっておくと、私は「ウェブサイトは必要」という考えです。
ウェブサイト制作をしている私の立場上、このトピックで何を言っても結局は自分のセールストークやポジショントークになってしまいますが、それを踏まえて、なぜ今も「まだ」ウェブサイトが必要だと考えているのかを本記事では書いていきます。
いくつか理由がありますが、まずはその中でも私が一番重要だと思う「ルールに従わないといけない」ということから触れます。
なお本記事でいう「SNS」とは、日本で利用者の多いLINE、インスタグラム、Facebook、Twitter、YouTubeなどを指します。
SNS=言いなりの立場
「SNSで十分でしょう」というスタンスに、ウェブサイト擁護派からは、いつも下のような意見が出されてきました(今も出されています)。
• 「SNSだけに集客や販売を頼るのはリスキー。分散が必要」
• 「プラットフォーマー(=SNSの運営企業)のルールに従わないといけない」
• 「プラットフォーマーの都合でアカウントがバン(使用停止や閉鎖)されるリスクがある」
などなど
他の多くの人もそうかもしれませんが、私は最初にこれらの意見を聞いた時、正直「自分には関係ないな」と思いました。
というのは周りを見渡してみれば、みんな普通にSNSを問題なく使っていますし、私自身アカウントが突然閉鎖されたとか、SNS運営企業(FacebookやLINEなど)の突然のルール変更で特段の不利益を被った、ということもなかったからです。
ただ私も最近になってようやく、実はSNSだけに頼るのはリスキーだと気がつき始めました。
インスタグラムのアカウント停止
最近、私のインスタグラムのアカウントが何度か使えなくなることが起きました。
短時間に「いいね」を多く押したり、複数人をフォロー、もしくはフォロー解除したりすると、アカウントが一定期間停止されるという話はよく聞きますし、実際私もプライベートで使っているアカウントでそれを体験したことがあります。
しかし今回は、そのような操作は何もしていないのに突然そうなりました。
「現在あなたのアカウントを確認しています。アカウントが再利用できるまでおよそ24時間かかります」と表示され、アカウントが使えなくなりました。
幸い、この時タイムリーに対応しなければいけないような事案はインスタグラム上になかったので、24時間停止になっても大きな支障はありませんでした。
しかし、もし何か緊急の問い合わせなどのタイムリーなことがあったらと思うと、24時間「も」停止になるリスクは計り知れません。
そして実はこのアカウント、いまだにアカウント凍結が解除されておらず、私はもう待っていても仕方がないので新しいアカウントを作り直しました。
インスタグラムでも特に怖いのは、個別的な対応のなされる可能性が低いことです。
アカウント停止や一時停止などが起きた時、画面には「もしこれがミスだと思うなら連絡してください」といった文章の出てくることがありますが、それで問い合わせてインスタグラムから返事が来た、という話は聞いたことがありません。
世界中に何億人というユーザーを抱えているインスタグラムが、個別ユーザーの問い合わせに対応するとは現実的に考えにくいので、24時間なり48時間なりアカウントが停止や利用不可能になったら、時が過ぎるのを待つことしか対応策はないことになります。
このような時間制限のある明示的な利用停止とともに、暗黙的な制限(シャドーバンとも)が加えられることもよく知られており、この場合、一見各種の操作に影響はなく普通に動いているように見えるものの、投稿やストーリーズを公開してもリーチする人数が大幅に下落します。
また今年は次のようなこともありました。
• FB傘下3サービスで一時障害 インスタ、メッセンジャーなど
• FB・インスタグラム・ワッツアップ、世界的にサービスがダウン
特に2021年10月の障害は復旧までに非常に長い時間がかかり、Facebookやインスタグラムをビジネスで利用している人は大きな影響を受けました。
ウェブサイトとGoogleは別物
このようにSNSの潜在的なリスクについて話すと、「ウェブサイトも結局Googleというプラットフォーム上にあるだけで、SNSとリスクは同じでは?」と聞かれることも多いのですが、この点を以下説明していきます。
まず前提として、ウェブサイトとGoogleは確かに相互依存の関係にあるものの、それぞれ独立したものであり、SNSの各アカウントがプラットフォーム上にあって全面的に運営企業に依存している関係とは異なります。
1995年に発売されたWindows95が、インターネットの利用を各家庭に広める契機になったことはよく知られています。
しかしここで注目したいのは、Googleの創業された年が1998年であることです。
つまりGoogleの登場前から、インターネットやウェブサイト(ホームページ)は存在していたということです。
Googleの役割は、ウェブサイトをひも付けて必要としている人に届けること、つまり膨大な情報の交通整理であって、Googleが各ウェブサイトを支配しているといった風の、極端な上下の関係性はここにはありません。
これはタウンページとお店の関係に似ています。
タウンページにはその市町村にあるお店の情報がずらずらと書かれていますが、それではタウンページがすべてを網羅しているのかというと、そうではありません。
タウンページには載っていないお店、そして掲載を拒否しているお店もたくさんあります。
同じように、Googleでは見つからないものの実際には存在している、というウェブサイトも数多くあるのです。
Googleには、SNSの運営企業が各アカウントに対して持っているような絶対的な権力はなく、当然Googleがウェブサイトを閉鎖することもできません。
そうはいっても、Googleに載せてもらってユーザーから発見されやすくすることがウェブサイトを活用するためには必須なので、SEO対策などの施策が必要になってきますが、それでもウェブサイトは「一つの独立した存在」であると言えます。
「なぜウェブサイトが必要か?」という質問に端的に答えるならば、「それはウェブサイトが唯一、100%のコントロールを持てる場所だから」となります。
顧客データが入手できない
集客や販売のツールとしてSNSだけに頼っていて困るのは、お客さんの個人情報が取れないことです。
ここでいう「個人情報」とは、具体的にはお客さんの連絡先のことです。
例えばニュースレターの配信をLINE公式などのSNSで行っている場合、すべてがうまく動いている場合にはとても便利なのですが、上記のような利用制限や、最悪アカウントの閉鎖などがなされた場合には、自分のアカウントだけでなく、そこにひもづいた顧客情報もすべて失うことになります。
この対策としてはSNSに全面依存しないこと、つまりウェブサイトを持つことの他にもう一つしておきたいのが、お客さんのメールアドレスを入手することです。
そうすればアカウントを失ってもお客さんにリーチすることが可能です。
ウェブサイトを見たい人は多い
これはここまで触れてきたような現実的なメリットとはやや角度が異なりますが、このSNS全盛の時代においてもウェブサイトを「情報の集積地」、「必要な情報がすべてそろっている場所」として考えているユーザーはたくさんいます。
例えばインスタグラムで面白そうなカフェを見つけても、実際に訪れたり、通販で商品を頼むという具体的なアクションを起こす前に、カフェのウェブサイトを見てもっと情報を取得したいと私は思います。
実際、問い合わせや店舗の訪問などのアクションを起こした人の80%以上は、SNSの後にウェブサイトを確認しているとも言われています。
しっかりとしたビジネスを行なっているアカウントには、通常ウェブサイトのアドレスが書かれているので、それがない場合逆に目立ち、信頼性に欠けるように見えてしまうことも少なくありません。
ウェブサイトは「着地点」
もう2021年も終わりますが、少なくとも今の時点ではまだ、ウェブサイトは「着地点」として大きな役割を担っています。
いまだに「○○と検索」などのフレーズで、商品名やキーワードのネット検索を促すTVのCMが流れていることからもわかる通り、ウェブサイトにはまだ情報の集積地としての役割、ユーザーを導いていきたい着地点としての機能が強くあることがわかります。
ここまでのことをまとめると、冒頭でことわったように我田引水の結論となりますが、このSNS全盛の時代にもウェブサイトは依然として必須であるといえます。
上述したSNSの利用停止などは、自分の身に起きない限りは実感が湧かず、そのリスクも真剣に考える気にはならないというのが普通だと思いますが、SNSはウェブサイトへ導くための一つの「入口」、「ドア」として使い、客人を招いて接遇するメインの部屋はウェブサイト、というのが私の考えです。
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