「これ一冊だけでOK!」という入門書が全然OKではない理由

blog-hero-img私たちがつい分厚い入門書を選んでしまう理由と、その対策について紹介

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この記事の筆者:三好アキ(エンジニア)


ウェブデザイナーから『エンジニア』『プログラマー』へ成長したい人、独学で進んでいきたい人を応援しています。 HTMLとCSSの知識だけでアプリ開発を始められる入門書を多数執筆中📕📗👇


ウェブ制作の教本『はじめてつくるReactアプリ』など複数冊を執筆。



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入門書を選ぶむずかしさ

新しい分野の勉強を始めるときにぶつかる最初の壁。

それは「どの本を『最初の一冊』としてピックアップするか?」でしょう。

私は「できるだけ薄い入門書を選ぶ」という方法を実践しています。

このメリットは、「簡単なものからはじめて、挫折を防止する」や「深い理解ではなく、やり終える/読み終えることを目的とする」といった点にありますが、周りを見るとぶ厚い入門書を買っている人が意外に多い。

書店に行くと、ページ数が300を超えるような厚い入門書がたくさん並んでいるので、ニーズは高いのでしょう。

実は私も以前はぶ厚い本を最初に買っていた人間で、今でも時々そういう入門書にこころ惹かれたりするので、厚みのある入門書を買ってしまう心理はある程度想像がつきます。

ぶ厚い本がくれる「安心感」

ぶ厚い入門書には心理的な「安心感」があります。

「必要な知識はすべてこの一冊にまとまっている!」

「この本をマスターすれば or この本に書かれていることをすべて覚えれば、今はできないアレ(例:アプリ制作や英会話なり)ができるようになるんだ!」

といったような。

受験勉強で暗記を頑張ってきた人にはわかる心理だと思います。

ぶ厚い本は「聖書」

上に書いた安心感ともつながりますが、ぶ厚い本はその分野で学ぶべきすべての事柄をカバーしているように見えるので、「この本だけやりこめばいい」という気持ちを与えてくれます。

つまり盲目的になれることを許してくれる聖書的な存在に見えるのです。

あるいは、「この本があれば大丈夫」といったようなお守り的存在。

これも受験勉強で「試験に出る全単語」や「これ一冊だけで合格レベル」といったものを使ってきた影響でしょうか。

ここまでのことをまとめると、ぶ厚い入門書は「知るべきことはすべてこの一冊にまとまっている」という安心感を与えてくれ、さらに「この本だけあればいい」といった盲目思考を私たちに許してくれるものなのです。

「これ一冊だけでOK」が失敗する理由

しかしどの分野の勉強であれ、「これ一冊だけ読めば大丈夫」ということはありえず、普通は類似の内容の本を数冊読むことになります。

むしろ、理解を深めるためには複数の本を読むことはマストだともいえます。

それには次のようなメリットがあるからです。


1 ― すでに知っていることでも、くりかえし目にすることで記憶がより定着する

2 ― 同じテーマの本でも、カバーしている内容は本ごとに微妙に異なるため、周辺知識が徐々に増える

3 ― テーマは同じでも、著者によってアプローチの方法/説明の仕方が異なるため、新しい発見があったり理解が深まったりする


あるテーマの学習が一冊で済むことはなく、数冊の本を読むことがマストだとわかると、入門書として最初にどの本を選ぶのかが意外に重要であると気が付きます。

最初の一冊がむずかしすぎれば、やる気をくじかれるでしょうし、読み終わるまでに時間がかかるような厚い本だと、途中で投げ出してしまうでしょう。

理想の入門書

私の考える「理想の入門書」は、「難しいと思ったけど自分でもできるかも!」「もっと知りたい!」というモチベーションを与えてくれるもの。

独学の場合はいわずもがな、予備校/メンターを利用していても、勉強を進めていくのは自分自身です。

なので勉強を続けていけるかどうかの分かれ目は、「もっと知りたい!」というポジティブな方向へと自分自身をどのように導いていくかにかかっています。

私はウェブ・プログラミング関係の入門書(JavaScript/React/Vue/Next.jsなど)をいくつも書いていますが、すべて同じ方針で書いています。

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つまり、全分野をカバーするような包括的アプローチは取らず、初心者の方に成功体験をひとつ(そしてできるだけ短時間で)作ってもらい、その先の学習へと自主的に進んでいけるような明るい気持ちを抱いてもらうこと。

あるいは、ビギナーの方の背中をそっと軽く押してあげること。

レビューなどを読むと、そういう方針に共感し、ポジティブなスタートダッシュを実現できている人が多いようで、著者としてはうれしい限りです。