【2024年】WordPressを使う前に知っておきたい5つのこと
2020.10.072024.04.01
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目次
この記事の筆者:三好アキ
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「WordPressありき」になっている現状
この記事を読んでいる人は、WordPressの名前をどこかで聞いたことがあって、WordPressでのウェブサイト制作を考えている方だと思います。
ここ数年のウェブ制作の状況を見てみると、開発が個人レベルであれ、制作会社などのプロに依頼するのであれ、どちらも「WordPress導入」というのがある種デフォルトのようになっています。
しかし実際には、WordPress以外にもウェブサイトを作る方法はたくさんあり、また「WordPressを導入するリスク」もあるので、「WordPressありき」で考えるのは危険です。
この記事ではWordPressが本当に必要かどうか、導入前に考えなければいけないポイントを5つ解説します。
なおWordPress制作の現状についてくわしく知りたい方は次の記事を参考にしてください。
WordPressはブログ用です
「ホームページ」「ウェブサイト」と一口にいっても、目的や規模によってさまざまな種類のものがあります。
例えばコーポレートサイト、キャンペーンサイト、採用サイト、ブログ、ネットショップ(ECサイト)、SNS、会員制ウェブサイト、オウンドメディアなど、数えればきりがありません。
そのような中で、WordPressはそもそもブログ用として開発・発展してきた歴史があります。
WordPressのプラグイン(拡張機能)を使えば、ログイン機能のついた会員制サイトやオンラインショップなども作ることができます。
しかし、プラグインによって実現する機能というのはWordPressの元の機能を超えたもので、それはWordPressの本来想定されていた用途ではありません。
「想定されていなかったとしても、実現できるならそれでいいじゃないか」という意見を持つ方もいるでしょう。
しかしここで考えなければいけないのは、そうやって本来想定されていたこと以上の機能を実現した場合、そのマイナス面が大きくなるリスクを生むことです。
例えば重要な個人情報を多くあつかう会員制ウェブサイトの場合、当然、高セキュリティ性が求められるわけですが、そこでWordPressが高いセキュリティ性を実現しているかというと答えはNoです(くわしくは後述)。
またECショップを開きたい場合、WordPressでもECショップ開設は可能ですが、Shopifyをはじめとする高機能なECショップ専用サービスがすでにある中、あえてブログ用のWordPressを選ぶ理由はありません。
更新をしないならWordPressは必要ありません
例えば採用サイトやランディングページなど、一度作ったらそのままでいいウェブサイトをWordPressで作る必要はありません。
逆に「お知らせ」や「新着記事」など、定期的な更新の発生するページがウェブサイトの中でそれなりの数あるのなら、WordPress導入が妥当です。
こういうことを書くのは、「更新部分がまったくないのにWordPressを導入してるウェブサイト」を少なからず目にするからです。
これが「猫も杓子もWordPressとなっているウェブ制作の現場」を反映している好例ですが、必要もないのにWordPressを導入することはウェブサイトを重くしてスピードを下げ、ユーザーにストレスを与えるので注意が必要です。
高いセキュリティが必要ならWordPressはやめましょう
カード情報や個人情報を多くあつかうネットショップや会員制サイトなど、ウェブサイトに高いセキュリティが必要な場合、WordPressはおすすめできません。
世界のウェブサイトの39.5%はWordPressという調査結果が示すように、WordPressのシェアは非常に高いですが、「広く使われている = ハッカーに狙われやすい」ということでもあります。
例えばあるWordPressのサイトでプラグラムの不具合や設計ミスによる脆弱性(セキュリティホール)をハッカーが見つけた場合、他のWordPressサイトも同じ脆弱性を抱えている可能性が高いため、このウェブサイトと同じ方法で他のWordPressサイトも攻撃できてしまいます。
これがWordPressへの攻撃が大規模になりやすい理由です。
WordPressの脆弱性は「修正してもすぐに新しいのが見つかる」というイタチごっこが続いており、そのためWordPressを使っているとアップデートが頻繁にあります。
しかしアップデートがよくあるということは、それだけシステムやプラグインのコンフリクト(相性の不一致)が起きやすく、長く使えば使うほどWordPressはビギナーにはメンテナンスが難しくなります。
オリジナリティが必要ならWordPressは避けましょう
WordPressは使用できるテンプレート(テーマ)が豊富で、「ビギナーでも本格的なウェブサイトを開設できる」ことを売りにしています。
しかしこれは、それだけ他の人とテーマのかぶる可能性が高いということです。
これはブランディングや独自性を打ち出したい場合に問題となります。
似たようなレイアウト、似たような作りのウェブサイトにこれまで出くわした人も多いと思いますが、それは同じWordPressのテーマで作られていたからかもしれません。
WordPressのテーマの中で日本語対応しているものは限られており、その中でも長期的に安心して利用できる(=定期的にアップデートが行われている)テーマはさらに少ないので、テーマがかぶって、同じような見た目のウェブサイトになってしまうのは仕方がありません。
しかしそれは、ブランドやサービスのイメージ作りには大きな足かせとなるので注意が必要です。
でも、ユーザーにストレスを与えたいならWordPressを使いましょう
WordPressはその構造上スピードが遅く、ページが表示されるまでユーザーを待たせます。
WordPressの構造は「WordPressでこまっているあなたへ」で詳しく説明していますが、簡単にいうと下図のように、ユーザーからのアクセスがあるたびにサーバーが複雑なプロセスを実行しているのでスピードが遅いのです。
3秒以内でページが表示されないと53%のユーザーが離脱するというように、スピードが遅いことはビジネスの成功に大きく影響します。
また、Googleは「スピードの遅いウェブサイトの検索ランキングを下げる」と明らかにしており、WordPressで作られた遅くて重いウェブサイトはアクセスを集めるのも難しくなっています。
トレンドは明らかにスピード重視の方向へと向かっており、その中で構造的にスピードの遅いWordPressを使うことは、検索順位を下げてユーザー離れを加速させるという二重のリスクを高めます。
ほとんどのケースでWordPressは必要ない
ウェブサイトを制作する時に重要なことは、目的にあったシステムを選ぶことです。
なので、WordPressありきで考えたり、競合他社が使っているという理由だけで導入したりするのは問題ですが、 実は大半のケースでWordPressはもはや必要がなくなっています。
ログインが必要ならログイン機能を備えたウェブアプリケーション、ECショップならShopifyと、それぞれの用途に特化したシステムがあるからです。
これまでWordPressが使われていたブログやオウンドメディア、コーポレートサイトなどにはJamstackと呼ばれる新しいアーキテクチャー(システム)を使うのがポピュラーになってきており、これによって「高スピード、高セキュリティ、高メンテナンス、だけど低コスト」というむずかしい条件を両立できるようになっています。
この点についてくわしくは上の記事を参考にしてください。
2022年の今、WordPressを使った方がいいのは自力で個人ブログの開設をする人くらいとなっています。
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